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法律の改正や新設に関する情報について、制度の内容やデメリット、リスクなどを簡単にまとめてご紹介しています。

2025年8月13日:弁護士会照会

1. 弁護士会照会とは?

弁護士法23条の2に基づいて弁護士会から公私の団体等に対して必要な事項の報告を求める照会制度です。
例えば、弁護士会から特定の携帯電話事業者に対して「000-1234-5678の電話番号の契約者名や住所を教えて」などと照会することができます。

2. 他の証拠収集方法との違いは?

訴え提起前の証拠収集処分や、訴え提起後の文書送付嘱託・調査嘱託手続など、裁判所を通じて証拠を集める方法もあります。
ただ、訴え提起前の証拠収集処分は、要件が厳格で利用しづらい、事前に相手方に提訴予告をしなければならないために相手方に証拠を隠されてしまうおそれがあるなどといった問題があります。
訴え提起後の文書送付嘱託・調査嘱託手続は、裁判を起こす前の示談交渉段階では利用することができない、仮に調査を求めた当事者にとって不利な結果だったとしても証拠として取り扱われてしまうといった問題があります。他方で、弁護士会照会により得た回答を証拠として利用するかどうかはこちらが選択できます。
このように、相手に知られずに調べることができる(※1)、裁判を起こす前でも利用できる、自分に不利な資料が出てきた場合には証拠として利用しなくてもいいといった点で、弁護士会照会は優れた制度といえます。

※1:照会を受けた団体が相手方に回答についての意見を求めることもあるため、相手方に知られてしまうこともあります。

3. 弁護士に依頼する必要があるの?

この照会制度は、弁護士が基本的人権の擁護や社会正義の実現といった弁護士の職務の公共性を根拠として設けられた特別な制度です。
そして、弁護士法23条の2には、弁護士が依頼を受けている事件について弁護士会に対して公私の団体等に照会するよう申し出ることができ、この申出に基づいて弁護士会が公私の団体等に照会することができると定められています。
このように、この照会制度を利用するには、弁護士にご依頼いただく必要があります。
また「相手方に対して〜〜といった請求をしたいが、そのために○○について調査する必要がある」という場合に照会できることとされており、「○○について調査してほしい」というスポット的なご依頼では照会できませんので御注意ください。

4. どんなことができるの?

弁護士会照会がよく利用される例をご紹介いたします。

  • (1) 夫が不貞しているので慰謝料請求したいが、不貞相手の情報は電話番号と車のナンバーしかわからない。
    →電気通信事業者に対して携帯電話番号の契約者名等を照会したり、運輸局に対して車両登録情報等を照会したりすることができます。
  • (2) 父が亡くなったので相続の話し合いをしたいが、その前提として死亡時の預金残高や取引履歴を調べたい。
    →金融機関に対して預金残高等を照会することができます。もっともこのような場合には、弁護士会照会を利用しなくても相続人から金融機関に対して直接に残高照会をすることもできます。
  • (3) 交通事故を起こしてしまったが、事故の原因について相手と話が食い違って揉めている。
    →警察や検察庁に対して物件事故報告書や実況見分調書などの内容について照会することができます。

5. まとめ

一般的な利用例をご紹介いたしましたが、これに限らず様々な照会が考えられます。
ただし、回答しなかった場合の罰則等がないこともあり、個人情報保護等の観点から回答を得られないこともございます。
気になることがございましたらまずはお気軽にご相談ください。


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