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民事事件 - 交通事故に関するQ & A

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交通事故の被害にあわれた方は、辛い思いをしたのですから、納得できる結果にしたいと思うことは当然です。
交通事故により、ときには重大な後遺症(治療を終えた後でも体の一部が動かしづらいとか、ずっと痛みが続くなどという症状が残ることをいいます)を負ってしまうこともあります。そのような場合、加害者や保険会社から支払われる賠償金が本当に妥当な金額なのか、疑問を持たれることもあるでしょう。弁護士に相談して頂ければ、その点についてアドバイスできますし、場合によっては弁護士が事件の依頼を受けて、妥当な賠償金を支払うように保険会社等と交渉したり、裁判をしたりこともあります。
交通事故で被害者になった場合でも、また加害者になった場合でも、分からないことや心配なことについては、まずは弁護士に相談してください。

前をちゃんと見ていなかったため一旦停止をしていた前の車に追突をした場合や交差点での出会い頭の事故等で、相手方が乗っていた車を壊してしまった場合、その車の修理代は自賠責保険だけで支払うことができますか?

車を運転する際に絶対に加入しなければならない自賠責保険を使って、相手方の車の修理代金を支払えるのであれば、事故を起こした人も助かるのですが、この自賠責保険は、いわゆる「物損」という物の修理代金等に対しては支払われません。
そのため、相手方の車が高級車などの場合で、修理費用が非常に高額になる場合は、この自賠責保険では賠償金の支払いができないという困ったことになります。


それでは物に対する損害などをカバーする保険はありますか?

自賠責保険では賠償金が支払われない部分を補う任意保険に加入することによって、このような損害をカバーすることになります。任意保険は、保険料によって対応できる範囲が異なるので、任意保険に加入する際は、どこまで損害をカバーできる保険なのか、内容を十分に理解することが大切です。

任意保険に加入していないと、事故の加害者にはどのような負担が考えられますか?

先に述べたように、被害者の車が高額の場合や事故によって信号機などを破損させた場合、その物の損害を自己負担しなければなりません。
また、被害者が大きな怪我をした場合、加害者が高額の治療費等を負担することになります。確かに、被害者の怪我の治療費は自賠責保険からも支払われます。しかし、自賠責から支払われる治療費には、120万円までという限度があります。被害者の怪我の程度が重い場合は、治療費がとても高額になりますから、120万円という限度では、とても治療費としては足りません。
このような自賠責保険ではまかなえない金額に備えるのが、任意保険です。任意保険でカバーできる範囲は、各保険の内容によって異なりますので、自分の掛けている保険でどのような損害まで対処できるのかを、よく確認されることをお勧めします。

加害者が仮に自賠責保険にしか加入していない場合、運悪くその交通事故の被害者となった方が、治療費を補える方法は他にありますか?

加害者がしっかりと治療費などのお金を支払える人ならそれほど問題はありませんが、一般的には、そのような人は任意保険にも加入しています。つまり、任意保険に加入していない方の多くは、その保険料の支払いをできない事情を抱えている方ということになり、賠償金の支払いも実際には難しいと思います。
すると、加害者の自賠責保険からは、A3で説明したように120万円を限度に支払われるだけですから、治療費が120万円を超えた場合、加害者がその超えた分を支払えない危険性があります。このような場合、他の制度として、健康保険や労災保険を使うことを検討しましょう。

交通事故の場合には、自由診療(健康保険などの保険が適用されない診療のこと)の扱いとなり、健康保険等が使えないと聞いたのですが、それは本当ですか?

交通事故の場合、健康保険が使えないというのは事実ではありません。健康保険指定病院であれば、交通事故であっても当然健康保険を使うことができます。


それではなぜ交通事故の場合、健康保険が使用できず、自由診療のみの扱いになるなどとよく言われるのでしょうか?

それは、保険制度の点数制の問題があるからです。健康保険の場合、医療点数の単価は1点10円となっています。これに対し、自由診療の場合、病院ごとに単価を自由に決めていいことになっています(多くは1点20円程度とされているようです)。
つまり、健康保険を使う場合と自由診療で行う場合とでは、同じ治療をしても、その額に2倍くらいの差が出るのです。点数が同じでも(治療内容が同じでも)その単価が違うため、自由診療の場合は、仮に1点20円とすると、治療をした医師は、健康保険の場合の2倍の治療費を請求できます。そこで、病院としても、交通事故の患者さんは自由診療で対応したい、という思いがあるのです。

自賠責保険の120万円の範囲内で治療費を抑えようと考えれば、医療点数の単価が低い健康保険を使用する方が、賢明ということになるのですか?

そう言えます。任意保険から無制限に治療費が支払われるのであれば、被害者の方は、治療費についてあまり悩むことはありません。しかし、加害者が自賠責保険しか加入していないと、自賠責保険からは120万円しか支払われませんから、それを超えた部分について加害者から事実上支払いを受けられないというケースでは、できるだけ医療点数の単価が低い健康保険を使用することをお勧めします。
ただし、その交通事故が仕事中や通勤途中で起きた場合には、労災保険を使用できます。この場合は、健康保険を使う場合の個人負担(例えば健康保険等の場合には、治療費のうち3割を患者さんが自己負担することになっています)がありません。
ですから、労災保険が使える場合は、治療に関しては、加害者が治療費をしっかりと支払える人かどうかを心配しなくてもよいのです。加害者が自賠責保険しか加入していない場合、労災保険での治療を受けることができるケースかどうかについても相談して下さい。

追突事故の被害者の方が、事故後ずっと頭が重い感じがして後遺症に悩まされているなどという話をよく聞きますが、後遺症とは法律上、どのような意味でしょうか?

誤解を恐れずに言うと、事故による傷害の治療が終了しても、それでも残り続ける身体的・精神的なダメージを受けた状態です。


交通事故の場合に後遺症が問題となるのはどうしてでしょうか?

後遺症が損害賠償の金額に大きな影響を及ぼすからです。交通事故による後遺症があるのかないのか、後遺症があるとして、その後遺症はどこの部分に関して、どの程度(軽重)のものなのかということが大きな問題になります。


後遺症があるかないかは、どのように判断されるのですか?

症状固定(これ以上治療をしても症状が改善しないという状態のことです)の段階で、医師に後遺症の診断書(保険会社で定められている書式を用いることが多いです)を作ってもらい、保険会社にその診断書を提出すると、損害保険料率算出機構というところで、後遺症の有無、後遺症の等級を判断すること(後遺症認定といいます)になります。
この後遺症の判断に納得がいかない場合には、異議申立という手続を行い、再度判断してもらうことができます。異議申立をする場合は、ただ単に判断が不満であるなどと主張するだけではなく、判断に具体的にどのような問題点があるのか、それを説得できるような理由や資料(特に医師の意見書など)を添えることをお勧めします。
また場合によっては、後遺症の有無・程度に納得がいかない場合、裁判所にそれらの点について判断を求めることもできます。裁判所が前記損害保険料率算出機構での後遺症の判断以上に重い後遺症として判断する場合も当然あります。例えばピアニストの方が、指に障害が残った場合、裁判では、後遺症認定以上に重い後遺症として評価されることもあります。

後遺症の等級にはどのようなものがありますか?

症状の重い1級からむち打ちなどが該当する14級に分かれています。そしてこの後遺症等級によって、自賠責から支払われる後遺障害の保険金額も決まってきます。


症状の最も重い後遺症の場合、自賠責から支払われる賠償金はどのようになりますか?

最高額の支払いになる場合に該当しますので、4000万円を上限として自賠責保険から支払われます。
最も重い後遺症の場合の例としては、脳に極めて重い障害を負って、寝たきりになったケースなどが考えられます。このような重度の後遺症が生じた交通事故では、常に介護が必要となるため賠償額が1億円を超えることも珍しくなく、自賠責保険からの4000万円の保険金では極めて不十分と言わざるを得ません。そのためにも、自賠責保険に加入するだけではなく、任意保険に加入して十分に備えておく必要があります。交通事故は、誰もが加害者となり、また被害者となる可能性がありますので、準備をしておくことが大切なのです。


後遺症の等級が、自賠責保険から支払われる保険額を決定づけることは分かりましたが、後遺症の等級は任意保険から支払われる賠償金にも影響があるのですか?

後遺症の等級は、賠償額全体を決める上で非常に重要なポイントになります。ですから、任意保険から支払われる保険金にも大きく影響します。任意保険から支払われる保険金は、被害者の収入、年齢、性別等によって様々ですが、後遺症の等級が重いと、それだけ被害者の方が失った損害が大きいと判断されますので、その分だけ保険会社から支払われる保険金が大きくなります。

交通事故の被害にあったのですが、保険会社から支払われる保険金の額に不満があるときは、どうしたらよいのですか?

被害者の方の多くが、示談成立後に保険会社から支払われる保険金に不満を持たれています。特に後遺症のある方は、「大変な思いをしているのに、この程度の金額しか支払われないのか」と感じるのも当然だと思います。
納得のいかない示談に応じて後悔してしまうことを防ぐためにも、必ず示談をされる前に、保険会社から提案のあった賠償金の額が妥当な金額なのか、弁護士に相談してください。示談をする前には、必ず保険会社から、どのような名目でいくら保険金をもらえるのか、その明細が事前に提示されます。これを持って弁護士に相談していただければ、もらえる保険金として妥当な金額をアドバイスいたします。

弁護士に相談をする際の費用が心配です。

相談者の方から、「弁護士に相談したり、示談や裁判を依頼したりすると、かえってそれに費用がかかってしまい、保険会社から支払われる賠償金の額が実際には少なくなってしまうのでは」という心配の声を聞くことがあります。また、保険会社の担当者からそのようなことを言われた、と耳にすることもあります。
しかし、弁護士に依頼した費用を支払ったために、実際に受け取った金額が、当初保険会社から提示された賠償金額よりも少なくなってしまったなどということは、普通はありません。
例えば、当事務所(*費用の7「依頼したい事件が交通事故の場合」のリンクに飛べるようにお願いします)では、人損の被害者の方につきましては、「当初保険会社から提示されていた金額を上回った分の20パーセントのみを費用としていただきますので、絶対に費用倒れになることはありません。
弁護士特約を使えることもありますので、その点も相談の際にお尋ねください。
※「弁護士特約について」の詳細は弁護士費用のページをご覧ください。



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