労働事件 - 賃金の未払いに関するQ & A
ここでは、残業代や有給休暇など、お給料に関わることについて簡単に説明します。
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残業代のこと
「サービス残業」などという言葉をよく聞きますが、本来、残業したらその残業時間分のお給料をもらえるのが当然です。しかも、その残業時間分のお給料というのは、通常時の時給より時給を割増して計算することになります。割増率は、以下の表のように決められています。
| 平日 | 休日 |
深夜以外(午前5時から午後10時までの間)に残業した場合 | 25%以上の割増 | 35%以上の割増 |
深夜(午後10時から翌午前5時までの間)に残業した場合 | 50%以上の割増 | 60%以上の割増 |
もし、雇い主がこういった基準に違反して残業代を支払ってくれない場合には、残業代を計算する裏付け資料(例えば、タイムカード、給与明細、労働時間管理記録、業務記録、就業規則等)を集めて、次のような対策をとりましょう。
- 労働基準監督署への申告
残業代を支払わない雇い主には、6か月以下の懲役か、30万円以下の罰金が科されます。
- 労働組合を通じた交渉
そもそも、雇い主が労働者に残業をさせるには、労働者の半数以上が加入している労働組合との間で、協定を結ばなければなりません。ですから、組合を通して交渉すれば、残業代の支払を求めやすくなるでしょう。
- 裁判所の各種手続の利用
裁判を起こして残業代の支払を求めることができます。 裁判よりももっと簡単で安い手続(支払督促、労働審判、民事調停)を利用することもできます。
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有給休暇を取る方法
労働者には、有給休暇をとることが認められています。パートの人やアルバイトの人も、労働者にあたりますから、有給休暇をとることができます。有給休暇をとったからといって、不利な扱いをする(例えば、ボーナス算出時に有給休暇取得日を欠勤日扱いにする)ことは許されません。
1. 契約で決めた労働時間が週30時間以上の方 次の2つの条件を満たせば、下の表のとおりの有給休暇をとることができます。
- その職場に雇われてから6か月以上続けて勤務していること
- すべての労働日の8割以上出勤していること
勤続年数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月 |
有給休暇をとれる日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
2. 契約で決めた労働時間が週30時間に満たない方 次の2つの条件を満たせば、契約で決めた1週間の労働日数(週で決めていないときは1年間の労働日数)に応じて、下の表のとおりの有給休暇をとることができます。
- その職場に雇われてから6か月以上続けて勤務していること
- すべての労働日の8割以上出勤していること
週(年間)の労働日数 |
勤続期間 |
6か月 |
1年6か月 |
2年6か月 |
3年6か月 |
4年6か月 |
5年6か月 |
6年6か月 |
5(217)日以上 |
10日 |
11日 |
12日 |
14日 |
16日 |
18日 |
20日 |
4(169〜216)日 |
7日 |
8日 |
9日 |
10日 |
12日 |
13日 |
15日 |
3(121〜168)日 |
5日 |
6日 |
8日 |
9日 |
10日 |
11日 |
2(73〜120)日 |
3日 |
4日 |
5日 |
6日 |
7日 |
1(48〜72)日 |
1日 |
2日 |
3日 |
3. 会社が倒産したために受け取っていない賃金がある場合
このような場合でも「未払賃金の立替払制度」を利用できますから、あきらめないでください。
この制度は、会社が倒産したために、賃金が支払われないまま退職した労働者に、その未払賃金の「一定範囲」(全額ではありません)について、独立行政法人労働者健康福祉機構が事業主に代わって支払うものです。
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はじめに述べたように、労働者の権利というのは、本当は世の中でいちばん大事にされるべきものです。なぜなら、私たちは働かなければ食べていくことができず、そうやって毎日働くためには、労働者の権利がきっちり守られている必要があるからです。
職場で理不尽な目にあってつらいとき、あまり我慢し過ぎずに、一度相談にお越しください。法律で解決できることが、あるかもしれません。