お悩み解決事例:倒産した顧問先の下請け会社の破産管財人から顧問先が請負代金の請求を受けた

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概要

ご依頼者顧問先の会社
特徴顧問先の下請けが倒産したことにより、その倒産した会社の破産管財人から顧問先が請負代金の請求を受けたケース

解決までの流れ

1. 事案の概要

顧問先は、破産したA社を下請として使用していた会社になります。Xという現場について、顧問先は下請のA社に対して、約200万円の請負代金の支払いをすることになっていました。しかしこのA社はその後倒産して、裁判所に破産を申立て、管財人が選任されました。

一方、A社はYという現場で顧問先の下請けとして工事をしていましたが、この工事施行に問題があり、その改修をしている最中にA社は破産することとなりました。顧問先は、Y現場の施工不良の工事を他の下請先に依頼することとなり、その改修工事には、300万円以上の費用がかかることになりました。

破産管財人から前記A社の顧問先に対する請負代金の請求(200万円)がされましたが、顧問先としては、Y現場でA社の施工不良により、300万円以上の改修工事が必要となり、その負担がある以上、破産管財人の請求に従って、200万円を支払うことはできないとの内容でご相談がありました。

そこで私が、正式に前記破産管財人からの請求に対して、その対応を行うことで、事件を受任しました。

2. その後の手続き

顧問先としては、Y現場における改修工事に関する損害(300万円以上)とX現場における請負代金債権(約200万円)を相殺することにより、破産管財人の請求を阻止することができます。理屈の上では、この相殺により破産管財人の請求は阻止できますが、実際には難しい問題があります。

前記請負代金債権の200万円については、顧問先から破産した会社に対して、その支払いをする旨の書類が提出されています。一方、Y現場において、A社の施工に問題があったとの点(つまり瑕疵)及びその改修費用が、300万円(少なくとも前記請負代金債権の200万円以上の金額がかかること)以上になることを顧問先の方で、証明することができなければ、破産管財人からの請求を阻止することは法律上できません。つまり顧問先の方が、300万円という損害がY現場で出たことを証明をするという大きな負担があります。

顧問先とA社とが通常の取引関係にあれば、A社がYの現場における改修をちゃんとしなければ、請負代金の200万円は支払わないということになると思います。しかし本件では、A社が倒産をしたため、前述の通常の取引関係にはありません。従って、A社が今後の取引関係を考えて、Yの現場で改修の必要性があったか否か(つまり瑕疵があったか否か)などという問題について、協力的な立場をとることは期待できません。

以上のような理由から、顧問先としては、Y現場における瑕疵の存在、その瑕疵を改修する場合の金額等について、破産管財人を説得するだけの資料を提供する必要があります。そのような資料を提供できない場合は、破産管財人としては、顧問先を被告として裁判を提訴することになり、裁判の中でも、前述したような資料を顧問先が証拠として提出できなければ、負けてしまうということになります。

そこで顧問先には、Y現場における瑕疵の存在、その改修に要する費用(A社倒産後に改修工事を行った業者への支払いなど)などの資料を全て用意をしていただき、これらの資料に基づき破産管財人には、書面でY現場において、顧問先には損害が生じていること、その損害はA社の施工不良に基づくものであることを文書で説明をしながら、提出をしていきました。

前述の点を説明するため破産管財人と複数回の書面のやり取りを行いました。そして最終的には破産管財人から200万円の請求を放棄するという回答をいただき、本件は無事に解決をすることができました。

3. 担当弁護士からのコメント

通常の取引関係が維持されている場合は、何ら問題がないものであっても、いざ取引先が破産などの手続きを行った場合、破産した会社(その破産管財人)から請負代金、売買代金、損害賠償などの請求を逆に受けることがあります。その時にはこのような請求に対して、それを阻止するためには、充分な資料をもって証明をする必要が生じる場合があります。

本件においても、X現場について顧問先がA社に支払う請負代金の支払いが、Y現場における瑕疵の改修が終了するまでは支払いを行わないことや、またその瑕疵の改修については、具体的にどの程度の金額が必要となるのか、その事前の見積等がしっかりと揃っていれば、もう少し簡単に破産管財人からの請求を阻止できたと考えています。

通常の取引関係が維持されている場合であっても、前述したような下請の会社が施工不良の工事などを行った場合は、その点に関する簡単な報告書(特にそれに要する費用などが記載された)だけでも、事前に提出をさせるような工夫をしておいたほう良いと思います。トラブルを事前に回避するためには、常に形に残る書類などを整理しておくことや、問題を起こした相手方から簡単な文書でも良いので、書類を提出させる(場合によってはFAXやメールでも良いと思います)ことが重要であったと思います。



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