お悩み解決事例:加害者の保険会社から提示されていた約870万円の賠償金額が1650万円で和解できた
概要
概要 | 高齢者(78歳)の高次脳機能障害 交通事故の損害賠償のケースについて 交通事故後、加害者の保険会社から提示されていた約870万円の賠償金額が、示談交渉で、最終的には1650万円で和解ができたケース(交通事故事案) |
ご依頼者 | 静岡県西部地域にお住いの78歳の女性 |
特徴 | 御依頼者が、交通事故により高次脳機能障がい(9級10号の神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当程度に制限されるもの)の後遺症を負ったケースになります。 |
解決までの流れ
1. 事案の概要
御依頼者は、交通事故により高次脳機能障がいの後遺症を負いました。その後遺症の等級は、前述した9級10号になります。
御依頼者は高齢の女性であり、病弱な夫と二人暮らしをしています。そのため事故前は、御依頼者が家事を主に担っていました。
しかし交通事故により、家事をする意欲が減退し、そのため病弱な夫が、交通事故後、家事を以前に比べると多く手伝ったり、必要な家事ができなくなりました。
このように家事をする能力や意欲が減退した事実があります。また事故前は息子さんが行っている自営業の仕事を精力的に手伝い、仕事にも厳しく、口やかましかったと子供さんが話をされていました。しかし事故後は、仕事を手伝うこともなく、性格も以前に比べると非常に穏やかになったとのことです。子供さんからすると、非常に厳しかった母が、こんなにも穏やかになったのは信じられないとのことでした。
事故後、症状も安定し、加害者の保険会社から提示された賠償金額は、約870万円でした。
2. ご依頼
御依頼者(主にはその子供さん)は、本件交通事故によりコミュニケーションが困難になったわけでもなく、性格も穏やかになったことから、前記保険会社の賠償額の提示に対してはそれほど不満はありませんでした。
しかし親族の方から、示談をする前に一度弁護士に相談をした方が良いと言われ、ご相談に来られました。
確かに私が話をしたり、ご家族の方から生活状況などを聞く限り、大きな日常生活での問題はないように思いました。しかし病弱な夫と生活をしている面に限ってみると、やはり以前に比べて主婦としての家事労働の部分が大分能力的に減退をしていることは否定できませんでした。
そこでこの家事労働の部分を中心に賠償金額の交渉を保険会社としていくことで、手続きを受任しました。前述したような事情もあり、御本人もご家族も特に裁判は希望されませんでした。
3. 加害者側の保険会社との交渉手続きについて
加害者側の保険会社から提示された賠償金額の中で低額だと思われたのは、治療期間中の休業損害(専業主婦としての家事労働の部分)、逸失利益(この点も主に専業主婦として今後家事労働をすることが以前に比べて能力的に劣るため、この分を損害として考慮すべきこと)などを中心に交渉を進めていきました。特に高齢者夫婦の生活の中で、今までの御依頼者の役割が非常に大きかったこと、一方病弱な夫は、その生活を妻である御依頼者に具体的にどのように支えられていたのか、そのあたりの事情をできるだけ詳しく書面化して、保険会社と交渉をしていきました。
これらの事情については、むしろ裁判で主張をしていく方が手続きとしては、容易ではないかと思いました。しかし御依頼者らが裁判を望まないため、できるだけ日常生活の具体的な点まで事情を確認して、それを相手方の保険会社に伝え、交渉をしていきました。
4. 結果
最終的に加害者の保険会社とは1650万円という金額で示談が成立しました。御依頼者の年齢を考えれば、私自身も相当な賠償金額であると考えています。
4. 担当弁護士からのコメント
交渉の場合、加害者側の保険会社に事情を理解してもらうことが難しい場合があり、裁判にして手続きを進めた方が望ましいと思われることも多くあります。しかし御依頼者の中には、やはり裁判となるとハードルが高いと思われる方もいて、「裁判までするのはちょっと。」と躊躇をされる方もいます。どのような手続きをとるかは御依頼者の意向を尊重するしかないとは思いますが、交渉においても相当な成果を出すことが本件ではできたのではないかと思っています。
加害者の保険会社が提示する賠償額が適正なものであるのか、またはどんな手続きをしたら良いのか、その場合、どのような結果が見込まれるのか、その方向性やポイントなどについて、詳しくは当事務所弁護士にご相談下さい。