お悩み解決事例:バネ指手術の医療過誤
概要
概要 | バネ指手術の医療過誤のケース |
ご依頼者 | 70代女性 |
事案の概要
1. 相談前
2019年7月、10年以上前にバネ指の手術を受けたところ、その後、ずっと手の指に痛みやシビレが続き、家事もままならなくなったという70代の男性から相談を受けました。
この間いろいろな病院や接骨院をめぐって治療を受けましたが効果はなかったとのことでしたが、最後に、或る総合病院で再手術を受けることができ、相談に来られたときは指先の痛みは軽減しているとのことでした。
2. 相談後
私としては、手術ミスは比較的はっきりしているように思ったのですが、十年以上前というのが気になりました。というのも、カルテの保存期間が普通5年と定められているからです。5年経ってカルテ開示を求めても廃棄しましたと言われればどうしようもありません。特に街中の開業医の場合は、10年、20年も保存しているところは少ないように思います。
もしカルテが廃棄されてしまっていて、その病院でバネの指の手術をした証拠すらないとしたら、果たして過失を立証できるのかと心配しました。相談者の手元にも当時その病院で手術を受けたことを裏付ける資料(診察券、領収書等)は残っていませんでした。
私は、相談者に対して、これまで通院した病院や接骨院のカルテや施術録をできるだけたくさんもらってくるように指示しました。これは損害の立証にも必要だからです。通院期間が長くて通院密度が高いほど慰謝料は多くなります。
それらのカルテを見ていたら、転院先の病院のカルテに、バネ指の手術を受けた病院の名前、日時の記載がありました。もし、手術をした病院のカルテが廃棄されていても、最悪、転院先の病院の記載を根拠に追及できるのではないかと思いました。
さて、医療事故の場合、訴訟になると病院側がカルテなどの証拠資料を改ざんしたり、隠したりすることが時々ありますので、裁判所の証拠保全という手続きで予めカルテなどの資料を押さえるのが通常ですが、今回は、手術したことさえ認めてくれれば過失は明らかだと思っていましたし、費用(普通、証拠保全の費用として30万円くらいかかります)のこともあり、証拠保全はしませんでした。
どうしたかというと、その病院に対して、内容証明郵便で、手術ミスをしたから損害賠償金を払って欲しいという申し入れをしました。
少し、どきどきしながら回答を待っていたところ、病院の代理人の弁護士から、連絡があり、少し時間を欲しいということでした。そうしたところ、ミス(責任)を認めるので損害額を提示して欲しいと言ってきました。
その後、金額の交渉を行い、最終的には350万円で示談しました。私としては、少し金額が少ないと思ったのですが、それ以上要求すると、示談交渉では無理で訴訟を起こさなくなってしまいますし、相談者も早期の解決を望んでいましたので、示談することにしました。
3. 担当弁護士からのコメント
受任してから約1年の解決は医療事故としては短い方です。弁護士費用は総額で50万円でした。
弁護士と言うと、訴訟しかしないというイメージがおありかもしれませんが、様々な解決手段をご提案できます。まずは、ご相談ください。