お悩み解決事例:妻の療養看護中に不貞行為をした夫から離婚請求された
概要
ご依頼者 | 静岡県中部地域にお住いの40代の女性(妻) |
特徴 | 不貞行為をした夫から離婚請求を求められたケースになります。 |
解決までの流れ
1. 事案の概要
妻が療養看護中、不貞行為をした夫が、その相手方と結婚をしたいと考え、妻に対して、離婚をして欲しいと請求をしてきたケースになります。夫婦の間には、二人の未成年の子供がいます。
2. ご依頼
依頼された女性は、病気により倒れられ、遷延性の意識障がいとなり、意思疎通が決めて困難な状況です。そのためその女性には、成年後見手続きが開始され、成年後見人には夫ではなく、実父が就任しました。
妻が病院で遷延性の意識障がいのため療養看護を受け、リハビリを行っている最中に、夫は女性と不貞行為に至りました。さらにその女性と結婚をしたいと考え、妻との離婚を求めてきました。
妻の父は、前述したような状態で離婚を求めてくる義理の息子のやり方に非常に憤慨するとともに、困惑をされ、その相談に来られました。相手方から離婚の裁判が提起されたこともあり、その対応をするため、裁判を受任いたしました。
3. 裁判手続きについて
こちらとしては、夫の離婚請求は、自ら離婚原因を作り出した本人が求めているものであり、有責配偶者からのこのような離婚請求は認められるべきでないとして争いました。また夫側からは、遷延性意識障害の状態が継続している以上、意思の疎通が全くできない状態では夫婦関係は破綻をしていると言わざるを得ず、そのこと自体には、夫に特段の責任はないというような反論も出されました。
4. 結果(判決)
裁判中、何度か話し合いによる解決(裁判上の和解)が裁判所からも提案されましたが、夫の離婚請求を心情的に許すことができないと考えた実父が、判決を望んだこともあり、前記和解での解決には至りませんでした。
裁判所の判決は、夫の離婚請求を認めない(つまり夫の離婚請求を棄却する)内容でした。それを不服とした夫が、東京高裁への控訴を行いましたが、控訴審においても、同様に夫の離婚請求は、認められませんでした。
5. 担当弁護士からのコメント
結果的には、夫からの離婚請求が認められない結果で裁判は終了しました。本件においては、不貞行為を行った夫から離婚を求められた妻が、御自身の判断で離婚を選択するか否かという決断ができないという特殊性がありました。ご自分で判断ができたとすれば、どのような結論を出されたのか、その点が非常に悩ましい問題でもあります。ただ現実問題として、夫婦の何れかが病気により意思疎通ができない状況に至った場合、もう一方の配偶者が離婚という選択を望む場合、どのように考えるべきかという難しい問題は、本件に限らず、一般的に起こり得る問題であると思っています。成年後見人や周囲の親族、知人の方が、ご本人の意思を推測しながら、解決を図っていくしかないと考えています。