お悩み解決事例:強制わいせつの罪で逮捕後に青少年条例違反で起訴され、最終的に無罪が確定した
概要
ご依頼者 | 20代 男性 |
特徴 | 女子中学生にわいせつ目的で接触行為をしたとして強制わいせつの罪で逮捕後、青少年条例違反で起訴され、最終的に無罪が確定した事件 |
解決までの流れ
事案の概要
依頼者は、とある公共施設で、同僚たち数名と一緒に美術教室のインストラクターをしていました。夏休みの小学生対象の粘土教室を開催したときに、職場体験に来ていた女子中学生の身体に触れたとして、強制わいせつの罪で逮捕されたのでした。
依頼者は、全面的に犯行を否認していました。
方針・弁護活動
依頼者や同僚たちから粘土教室の内容を聴取する中で、とてもわいせつ目的で誰かを触れる状況ではないということに、受任当初から気付きました。その粘土教室は、公共施設のガラス張りの大部屋で、40人もの小学生たちや10名以上の保護者・引率者たち、5名以上のインストラクターたち(しかも、そのうちの1名は依頼者の交際相手だった)がいるという、衆人環視の状況下で開催されていたのです。
そして、粘土教室といっても、大人がやるような陶芸教室ではなく、お遊戯的な体を動かすゲームやシナリオが用意され、その中で仲間たちと粘土細工を完成させていくというプログラムで、一定程度、参加者同士の身体の接触が不可避であるものでした。依頼者は、教室の前方から教室全体に指示を出す司会進行役だったのですが、職場体験に来ていた女子中学生にプログラムの見本役をやらせていた時間帯があり、その際の接触がわいせつ目的だと疑われたようでした。
このことは、実際に公共施設に足を運んで、同僚や上司から事情を聴取し、粘土教室を見学させてもらい、十分に証明可能であると確信しました。そこで、とことん無罪を争う戦略を立てることにしました。
- 取り調べへの対応→黙秘を指示、黙秘を継続できるよう1日おきに接見
- 証拠収集→公共施設の撮影、過去の粘土教室の映像の取得等
- 証拠開示→公判前整理手続を要求し、考えられるあらゆる証拠について開示請求
- 身柄解放→保釈の申立て
残念ながら、検察官は起訴に踏み切り、身柄はすぐには解放してもらえませんでした。しかし、公判前整理手続の中で検察と弁護側の主張や証拠がある程度明らかになった段階で、無事に保釈が認められました。
結果
裁判は1年にわたり続きました。たくさんの証人尋問が行われ、粘土教室に関する様々な証拠が提出されました。検証手続を請求して、裁判官に実際の粘土教室の現場に臨場させることにも成功しました。その結果、粘土教室の実際のイメージを、極めて詳細に裁判官に伝えることができました。現場の様子をイメージさせることで、女子中学生の証言が不自然であると気付かせることができ、無事に無罪を勝ち取りました。
この事件は、起訴に踏み切った検察官による、粘土教室の実際の様子の捜査が不十分だったために、女子中学生の言い分を鵜呑みにしてしまい、その不自然さに気付けなかったことから起きてしまった冤罪事件だと考えています。
無罪を争う上で重要なのは、検察側にこちらの言い分を握りつぶされないようにすること(取調べには黙秘して、身柄を早期に解放する)、検察側の保有するすべての証拠を開示させて弁護側に有利な証拠を見つけること、弁護側も独自に証拠収集に努めること、それらの証拠をもれなく裁判官が取り調べてくれるよう裁判手続内で説得的な意見を述べること、そしてこれらの膨大な仕事量をやり切れるだけの熱意です。