お役立ちコラム
法律の改正や新設に関する情報について、制度の内容やデメリット、リスクなどを簡単にまとめてご紹介しています。
2024年4月1日:遺留分侵害請求権
1. <遺留分>とは?
(1)<遺言>の自由を制限して、一定範囲の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合。例えば、遺言書に「すべての財産を長男に相続させる」と書いてあっても、遺留分を主張すれば、長男以外の子供も一定の財産を請求することができる。
(2)なお、長女が遺産分割調停(<遺産分割協議>を裁判所で行う)申立てたら、長男にすべて相続するとの遺言がでてきた場合、遺産分割調停は不成立で終わりとなってしまい、別途、遺留分侵害額の請求調停を申立てなければいけなくなります。
2. 割合
(法定相続分)第九百条
1項 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
(遺留分の帰属及びその割合)第千四十二条
1項 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一
2項 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。
3. 旧制度での不都合※別紙参照(法務省)
遺留減殺請求権を行使→遺産が共同相続人間で共有状態になり、処分が複雑
4. 見直しのポイント※別紙参照(法務省)
@請求権を金銭債権にする
Aお金を払わなくてはいけない側に、裁判所が一定の猶予を与える
(受遺者又は受贈者の負担額)第千四十七条
5項 裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、第一項の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
5. 施行期日
2019(令和元)年7月1日
令和元年7月1日より前に被相続人が亡くなった場合,この申立てはできません(遺留分を侵害された者は,改正前民法の規定に基づき,贈与又は遺贈を受けた者に対し,遺留分侵害の限度で贈与又は遺贈された物件の返還を請求する遺留分減殺による物件返還請求等の調停の申立てをすることになります)。
遺留分侵害額の請求調停 | 裁判所 (courts.go.jp)より引用)
6. 贈与
第千四十四条
1項 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。
7. 時効
(遺留分侵害額請求権の期間の制限)第千四十八条
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
過去の話題
2024年1月6日:2024年4月から相続登記が義務化されます